人もコンパニオン・アニマルも母乳不足は深刻

2017.01.11 Wednesday

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    コンパニオン・アニマルで遺伝的な問題に継いで、私たちが深刻に思うのは離乳の時期の早さです。基本的に、イヌでは、4週から8週、ネコでは4週から6週が離乳時期と言われることが多いですが、その最低ラインさえ守られていることが少ない状態になってきています。最低ラインだというのは、実際には母乳を与えることは、身体の基礎や免疫力を作るだけの目的ではないと思うからです。イヌの場合、超小型犬と超大型犬とでは、20倍以上の体重差があります。しかしながら、離乳期に関してはさほど開きがないというのも疑問に感じる部分です。そうしたことはさておき、なぜ、その最低ラインさえも守られなくなってきているかは、日本での生体販売の多くが、いわゆるショップでの陳列販売であるからだと言えるでしょう。「お客さんがみて、かわいいうちに売ってしまおう」という考え方がそこにあります。実際、身体の大きい子であれば、8週もすれば陳列ケースでは窮屈な状態になっています。そのような状態では、売れないということなのです。

     

    顧客のニーズに応えるべく販売していることが実情である限り、選んで購入する側がもっと知識と彼らの立場にたった考え方を持つべきではないかと感じます。実際、離乳期を終えていないうちに販売されている子は、免疫力の低い子が圧倒的に多く、一般的にワクチン接種をする前に、既に繁殖場から病気を持ってきてしまい、店で発症してしまうといったケースも少なくはありません。

    人間の子供の場合も、やはり母乳に代わりうるほどの栄養はありません。ミルクももちろん、成分的には考えられていますが、やはりその子のベストとして考えられたものではありません。母乳は人間の場合約10カ月かけて、その子にとっての一番の栄養と免疫力の向上が得られるように、お母さんの身体が時間をかけて調整したものです。それに代わるものがあるでしょうか?もちろん、お母さんの身体がつらい、体調が優れず母乳がでないなどのときもあります。そうしたときは、ミルクで補いながら、精神的な交流を図る努力をしていくことで、カバーできていく部分は大きいと思います。

    私は自分の息子も母乳だけで育ててきました。しかし、最初から順調だったわけではありませんでした。

    妊娠当時の私は、「母乳は、赤ちゃんができたら誰でも簡単に出せるもの」とそう思い込んで、疑わなかったのです。ところが、そうではありませんでした。私は胸が大きい方でした。でも、それは同時に母乳を与えるお母さんとしては、与えにくいおっぱいでもあったのです。おっぱいは、血液から作られています。それは、おっぱいののっかっている基底部という部分に集まり、そこから乳管を通じて、乳首や乳輪にあるおっぱいの出る出口へと到達するわけです。乳管はおっぱいが小さい人ほど、短くなり、大きい人ほど長くなります。つまり、管が長ければ到達するのに時間も量も必要になりますし、同時に水道管などと同じで、つまりやすくもなるわけです。

     

    また、妊娠中の変化によって、身体の中に結石を抱えていた私は授乳するたびに、激痛を伴っていました。それでも、半ば意地になっていたのかもしれません。私自身、母親が会社員として定年まで働いていたため、赤ん坊のときも母乳を与えられた期間は2〜3カ月だったそうです。もちろん、それだけが原因ではないと思いますが、私は小さい頃から病院と縁が切れない子でした。そんな経緯もあって、「自分の子供ができたら、できる限り母乳で育てよう。」と、結婚したときから決めていました。普通なら、大の男の人でも七転八倒するくらいの痛みと言われている痛みでしたが、「もし、病院に行ったりすれば、即入院になるかもしれない。そうしたら、赤ん坊のこの子はきっと途方に暮れてしまうだろう。」そう思って、約2年間を耐えました。


    実際、産後半年くらいから、一時期嘘のように痛みはなくなりました。それでも自然卒乳を待っていたため、気付くと子供も1歳11カ月を迎えていました。そして、ようやく離乳をしてくれた次の月、私は発作を起こして入院することになってしまいました。その息子も4歳になりましたが、次の子がもしできたとして、正直あのときのように、頑張れるかどうか自信はありません。しかしながら、流行の病気になっても、お友達と比較して、軽症で済んでいる我が子をみる度、あのときの忍耐は無駄ではなかったとそう思えるのです。

     

    私たちが診察してきたコンパニオン・アニマルたちの多くも、母乳不足や不足感を訴える子が多いです。基本的に彼らの場合、離乳そのものが、実の母親との別れでもあるわけです。免疫力や自己治癒力の低下よりも、実はそうした精神的な部分の方が深刻であったりします。私たちも、免疫力や自己治癒力をあげるためのサプリメントを処方したり、できるだけ体質に合わせた食事などをアドバイスすることはできますが、やはり毎日のケアはご家庭に共に暮らすご家族の努力にかかっていると申し上げても過言ではないと存じます。幼い頃に経験した肉親との別れを含めた精神的な部分を、新しく家族となったみなさんが、いかに補ってあげることができるのか、今一度考えてみて頂ければと存じます。

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