遺伝的な問題

2017.01.11 Wednesday

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    犬にとって、一番深刻な問題がこの遺伝的な問題です。猫でも純血種であれば、もちろん問題となる部分です。しかしながら、猫はまだ犬ほど人為的に加えた、個体差のバラエティが少ないためここでは、純血犬を中心にお話していきたいと思います。純血種の犬が急増した戦後から、純血種特有の病気は、獣医師を悩ませる一番の種になっていきました。ところが、多くの一般の愛犬家の方たちは、この事実に今も気付いていないままです。

    毎年、CMやドラマや映画、アニメや漫画などで話題になったワンちゃんが、取りだたされては消えていきます。そして、人気の出た犬種は、ペットショップでも常に品切れ状態になってしまっています。相手は、生き物です。かけがえのない命なのです。決して、大量生産できるものではありません。しかし、ニーズだけは火がつけば、留まるところを知れず、みんなが手を伸ばして「あの犬が欲しい」と声を大にしていくのです。それに答えるため、ブリーダーやペットショップは最初は値を上げます。それでも、欲しい人は減りません。そうなれば、無理な交配をせざるを得なくなります。

    きちんとした、血統の子という名目であっても、3代以上遡っては正直よく分からないというのも実情のようです。そんな中、遺伝的にひょっとしたら、出現するかもしれない病気が水面下にあっても、ニーズに合わせた販売を行わなくてはならないという図式が成り立ってしまうのです。

    もちろん、純血種の場合、それだけでなく犬種特有の病気が雑種(MIX)のそれよりも、可能性が高くなります。ゴールデンやラブラドールなどのレトリバーに多い股関節形成不全、ダックスやビーグルに多い椎間板ヘルニア、シーズーや柴犬に多いアレルギー性皮膚炎など、挙げればキリがないほどです。特に、骨格系の病気は、手術をしても完治に至らないケースもあり、大型犬であって、ある程度年齢が経ってから発症するケースなどでは、歩行困難や立つことさえできなくなったという場合などは、悲劇を生むケースも私たちはいくつもみてきました。

    また、日本ではショップなどでの「陳列販売」が主流です。ヨーロッパではこのようなことは、まず考えられない光景なのです。なぜなら、ペットを商品として陳列していること自体、ヨーロッパ人からみれば信じ難い光景と写るからです。そのため日本では、「商品として売れるうちに・・・つまり、子犬としてかわいい時期に売ってしまおう」ということもまかり通っています。ですから、本来まだ離乳すべきでない時期に、母親から離されて、兄弟たちとの社会経験も踏まずに、いきなりショップのケースに入れられているということも少なくないのです。ヨーロッパでは、生後2カ月未満の子犬は(ブリーダー直販であっても)販売してはいけないという法律がある国もあります。日本でも、せめてこうした明確なガイドラインが早く設けられるように、願ってやみません。

    CMで一躍人気となったチワワも、超小型犬という本当に人間が愛玩犬として、作り出した種なのです。あの細い骨格にも負担がかかりやすいですし、水頭症も多い犬種です。それでも、確かにもう目が離せないほどかわいい犬だと、私たちはつい手を伸ばしたくなるでしょう。

    遺伝的な疾患については、たとえ西洋医学の最先端技術を駆使しても、東洋医学や自然療法で時間をかけて治療をしても、元の状態以上のものにすることが難しいといった事実を伝えなくてはならないとき、私たちはある意味、人為的に作られた種類であることが多い「ペット(コンパニオン・アニマル)」の意味を改めて深く考えてしまうことがあります。

    もちろん、一緒に暮らすと決めた以上、彼らに対して家族が責任を持つことは当然のことです。ただ、彼らと暮らす前にまず、彼らのことをよく知った上で同居を決めて欲しいということはいつも思います。やはり、自由に走り回れる空間がないところで、活発に動き回ることが好きな犬種と暮らすのは、ストレスに繋がることは避けられません。純血種を選んだ以上、特有の病気があることも、そうした病気に万一なってしまった場合の対処法も、ぜひ真剣に考えて頂きたいと思います。

    もし、あなたが子供を生む立場になったとき、「私は絶対女の子で、色白で美人で、聡明な感じの子が欲しい」と希望し、その通りの子を産むことができるでしょうか?実際、ペットは「この○○種がかわいいから」と事前に決めて、探すのがほとんどでしょう。ペットとの出会いは、そういった意味でも人間側にイニシアチブがあるのは歴然です。であれば、彼らの個性を尊重してあげられる気持ちと環境はどうか、人間であるご家族の側でできる限り、整えてあげて頂けたらと願ってやみません。


    ご家族の愛がいつもいつも、動物たちを愛で満たし、動物たちの愛がいつもいつも、ご家族を愛で満たし、その愛の循環がどうかいつまでも続きますように・・・。

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